ミズンの素揚げ

 すでにこのコーナーでミズンの南蛮漬けを紹介しているけれど、ミズンで最も手っ取り早い食べ方といえば、この素揚げだ。

 ウロコを親指でペリリと剥がしたあと、油で5分ほど揚げ、塩をパラリとふりかければ出来上がりである。サイズがサイズだけにワタを取る必要はなく、骨は5分も揚げれば普通にそのまま食べられる。
 超お手軽なのである。
 しかも美味しい。

 が。
 ミズン漁解禁(という日が定められているわけではないけど)となった途端にこの素揚げを食べ始めると、おそらく誰もが1週間と経たぬ間に飽きてしまうことだろう。マヨネーズをつけてみたりして味を変えてみても、やはり揚げた魚は揚げた魚、食べ過ぎるとやがて食指が動かなくなる。

 だから南蛮漬けやらマリネ、酢じめ、刺身などにして食べるようになるわけだ。
 でもそうやって手のかかるものばかりを食べていると、不思議なことにやがてそのうちまた素揚げを食べてみたくなる。

 それも、まだミズンが桟橋脇で群れている頃なら釣れば食べられるからそれほどではないけれど、秋も深まり、あんなに群れていたミズンがすっかり姿を消してしまった今頃の季節になると、素揚げの味を思い出しては遠い目をし、来年を待たねばならなくなるのだった。

 ああミズンよ、来年もまたたくさん群れてね………。

 サルでも釣れる

桟橋脇で群れている秋の初めなら、
誰でも釣ることができる。

 


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