サヨリといえば、なんとなく内地の寿司ネタというイメージだけれど、沖縄の海でも普通に見られる魚の一種だ。
それもビーチの海水浴エリアのような、リーフの内側の海に多い。
水納ビーチの海水浴エリアでは、シーズン中多数のサヨリが水面で群れているのを目にすることができる。海中から見上げれば、晴れ渡る空をバックに魚体がきらめき、実に爽快感溢れるシーンを提供してくれる。
そんな観光資源であるサヨリが、秋になると水産資源に変身する。
ひと夏をビーチで過ごしたサヨリたちは30センチほどに成長してプリプリと脂が載ってくる。それを桟橋から釣り人たちが狙うわけだ。
毎年秋になるとサヨリゲッターになるのが機関長キヨシさん。
ビーチのほかにも島の周りでサヨリがいるところを知っている彼は、まだビーチが賑わいを見せている間は島の裏で、ビーチの人影がまばらになると桟橋で、伝家の宝刀の竿を振る。
そうやって釣り上げられたサヨリの一部が、ときとして我が家の食卓に並ぶわけである。
これがもう、美味いのなんの。
いやすまぬ。ボキャブラリーがないので毎回同じセリフを吐いている気がするが、とにかく秘めた実力を持っているのだ、サヨリは。
その魚体からは想像もできないしっかりした食感プラス適度に載った脂は、とても白身魚とは思えないほどの濃厚な存在感となって舌に絡みつく。
こんなにいともたやすく獲れて美味しい魚が、なぜに普通にスーパーで売られていないのだろうか。
ああ、そうか、いるところにはいるけど、そうそう安定供給できるほど生息しているわけではないし、そもそも鮮度が落ちる足が早いから商業ベースで流通させられないのだろう。
というわけで、キラキラサヨリもまた現地ならではの味なのであった。