●海と島の雑貨屋さん●
写真・文/植田正恵
月刊アクアネット2006年9月号
何事もやってみないとわからない、すべてが思ったとおりにいくわけではない、というのが私の信条だ。
特にうちの仕事のように自然相手のことであればなおさら。
どんな綿密な計画であっても100%思ったとおりにいくわけがない、といつも思っているから、計画通りに事が運ばなくてもそれほど痛手はない。
悔しいことは悔しいけど……。
ところが、どういうわけか人によっては…というか、3セク事業のようにちょこっと行政が絡んだりすると、自然相手にもかかわらず、自分たちの都合のいいように自然が存在してくれるものという前提で計画を練ってしまうらしい。
たとえば、とあるリゾート地にあった潜水艇。
グラスボートのように海面から海中を覗き見るのではなく、海面下から海中を見ることができるなかなか興味深い乗り物ではあるのだが、なぜか数年で営業を終了してしまった。
どうやら、海が年中べた凪ぎである、という前提に基づいた年間計画で営業していたらしい。
そりゃあなた無理でしょう、と思わず突っ込んでしまった。
その気候風土のせいか、ことほどさように沖縄には「計画」という名の無計画が多い。
そのため、観光客として沖縄にいる分にはなんともなかったのに、昨今流行の「沖縄移住」で県内に住み始めた途端、いざ仕事となるとどうしようもないイライラを募らせる人がいるようである。
特にキチンとした人なら、あきれ返ってしまうこともあるのだろう。
何かをしようにも、誰もキチンと段取りを教えてくれないのに、失敗すると怒られる。
期日に間に合うと言っていたのに、フタを開けてみるとまったく間に合わない。
その日から作業が始まることは誰もが知っていたにもかかわらず、当日になって初めてみんな慌てて準備を始める。
遠路はるばる作業をしに来たのに、肝心の工具や部品が違っていて仕事にならない…。
数え上げれば枚挙に暇がないが、実はそれもまた「沖縄」なのだ。
昨今の空前の沖縄ブームで、「沖縄が好き!」という人は多い。そして、アルバイトや仕事をしに沖縄にやってくる人は後を絶たない。
ところがそういう人たちの中には、上に挙げたようなことについて、やたらと不満を漏らす人たちもいる。
ハッキリ言ってまだまだ甘い。
というか、そこで文句を言って何が「沖縄が好き!」だ、と私は彼らにこそ文句を言いたい。
当然ながら(?)水納島島民はあまり綿密な計画を立てることをしない。
海に行くにも、風の音を聞き、実際に海を見てその気になってからスタートする。
悪く言えばその日暮らしで計画性がない、ということになるが、その分対応に柔軟性があるのだ。
4月1日にオープンする海の家のスタッフが4月1日からペンキ塗りをやっているのを見て昔は笑っていた我々も、いつしかシーズンインのその日から大工仕事を始めるようになってしまった。
でも、だからといって誰かに迷惑をかけているわけではないのだから、最初から計画通りにいかないと開き直り、余裕を持ってやるほうがいいなあ、と最近は思うのだ。
きっとその余裕が、ゲストの安らぎにつながるはずだから……。