●海と島の雑貨屋さん●
写真・文/植田正恵
月刊アクアネット2008年1月号
沖縄県には有人離島だけでも48もあるそうだ。
そんな島々の物産が一同に会する機会が年に一度だけあって、その名を離島フェアという。毎年12月に3日間開催されるイベントだ。
なんと我々夫婦は、無謀にもこのたび初めて参加した。
前回の当コーナーで話題にした新婚夫婦がすでに前年出展していたこともあってお誘いがかかり、我々も出展してみることになった次第。
それまで離島フェアの存在自体は知ってはいたものの、それがどんな規模で、どんなコンセプトで開催されているか、まったく知らないというのに、社員2名の多数決により参加を決定したのだった。
なんだか面白そうという軽いノリが最たる理由だったのはいうまでもない。
ただし目的が無かったわけではない。
離島フェアといいつつも、離島を抱えた本島の市町村も参加しているため、新婚夫婦はせっかく水納島産の商品で島をアピールしようとしたのに、水納島が属する本部町の宣伝に埋もれてしまったという。
せっかく水納島をアピールするいい機会なのに、わざわざショバ代を払ってまでして本部町の広告に埋もれてしまってはいささか悔しい。
であれば、新婚夫婦と我々とで水納島のブースを設け、島を盛大にアピールしようということになった。
ところでこの離島フェアで我々夫婦は何を販売しようというのか。
ほかでもない、とんぼ玉である。以前にこの稿で触れた雑貨屋さんの主力商品である。
なにをかくそう私が制作しているのだ。
とはいえこのフェアに訪れるお客さんの目的は食べ物である。各地の名物が勢揃いし、試食はし放題で価格も抑えられており、人気店には行列もできるほどだという。
そんなところに雑貨などを並べてお客さんは来てくれるのだろうか??
ま、文化祭のような雰囲気を楽しめて各島の美味しいものを物色できれば赤字でもいいや……という不埒な目論見が神様に露見したのか、季節はずれの台風と季節風の併せワザで連絡船が何日も欠航し続け、あわや参加することあたわず、という事態になりかけた。
幸いなんとか一日遅れで島を出ることができたものの、我々が会場に到着した頃にはすでにフェア初日のお客さんが多数来場していた。
初日は金曜日だからそれほど多くないという話だったから高をくくっていたというのに、いざ到着してみると会場は人・人・人。
いきなり雰囲気にのまれてしまった……。
それでも3日目を迎えた頃には平常心を取り戻し、会場の雰囲気も各地の美味しいものもゆっくり味わうことができた。
おかげさまで思った以上に売り上げもあったし♪
一方で、水納島の存在がいまだに知られていない事実に改めて驚いた。来場者の大半が県民だというのに…。
我々のブースで散々会話したあとに「水納島は無人島なんでしょう?」と訊かれたことさえあった。
じゃあワタシはどこから来たのだ!!
有名どころの石垣島や宮古島とはどうも勝手が違うようだった。
これから先、島を挙げて観光で食べていこうというのなら、県民にすらこんな程度の認知度ではいけない。
水納島の存在自体を、観光業者ではなく一般の人々にもちゃんとアピールしなければ。
我々のこのガラにもない離島フェア参戦が、ささやかながらも島への貢献になってくれていることを祈ろう……。