(Urocaridella antonbruunii)
体長 2cm
ソリハシコモンエビには、赤い点が多いタイプのものがいる…
…と言われはじめてから、なにやらややこしいことになってきた。
みんなソリハシコモンエビのままでそっとしておいてくれればいいものを…。
ソリハシコモンエビとは別種ではなかろうかということになった別タイプは、ソリハシコモンエビに比べて体の赤点が多いという特徴がある一方、赤点だらけのベンテンコモンエビと比べたら赤点の数は遥かに少ないという。
その赤点の多い少ないの基準がまたあやふやなため、では↓これはどっちなの?ということになると、私のような素人は手も足も出なくなる。
別種とされている赤点多タイプに比べると赤点が少なすぎる気がするし、ソリハシコモンエビとされているものには赤点がこれくらいあるものもいるようだから、そうなるとこれはソリハシコモンエビなのか…
…となりかけた。
しかし!
実にわかりやすくも力強い注目ポイントがあった。
それは、彼らの額角(目と目の間から前に突き出ている角)の色。
ソリハシコモンエビやベンテンコモンエビの顎角の色は、先端から白→赤の順になっている。
一方赤点多タイプあらため Urocaridella antonbruunii ことウロカリデラ・アントンブルニイ略してアントンは…
赤→白の順番になっているのだ!
こんな小さなエビのささやかな角の色の微細な色の違いで見分けるなんて、さすが変態社会。
でもこの実にハッキリしている違いによって、これまでビミョーと思っていたエビたちがアントンであることがわかってしまった。
冒頭の写真もその次の写真も、顎角の色は赤→白の順。
というわけで、どちらも Urocaridella antonbruunii こと略してアントン確定。
ザ・ソリハシとアントンは水納島でも確認でき、同じ根でもこちらの暗がりとあちらの暗がりという具合いに両者が住み分けているように見えるんだけど、それらの角を全部写真に撮って確認したわけではないから、↓このように少数(写真では矢印の先の1匹だけ)がソリハシに混じっているだけなのかもしれない。
↑PCでご覧の場合、この写真をクリックすると大きな写真になりますので、どれがアントンか探してみてください。
ソリハシコモンエビとは別種なんて言われ始めた頃には絶望的に思えた両者の区別も、上の写真で見分けることができれば、これでもうあなたも安心だ。
でも、こんな小さなエビの角をその場で肉眼で判別できる機能など、もはや我がクラシカルアイには望むべくもないのだった…。