5・赤鬼どん青鬼どん

 各地で開催される市民マラソンではどこでも同じだと思うけど、記録を求めて一生懸命マジメに走る選手がいる一方で、着ぐるみを身につけたイロモノ系の人たちもいる。

 今回もスタート地点には、様々な着ぐるみイロモノ系が集まっていた。
 とりわけ沿道の子供たちのウケが良かったのは、ほかでもない琉神マブヤーだ。

 スタートしてからしばらくすると、そのマブヤーが我々の前に現れた。
 すると。
 それまではずっと、昨年同様体力消耗を防ぐために言葉少なく黙々と走っていたうちの奥さんが、突如口を開いた。
 いったい何を言うのかと思ったら、

 「マブヤーと一緒に撮って!!」

 ワタシャこれを撮るためにどんだけ無理なポーズと運動をしていると思っておるのだ、まったく。

 沿道の子供たちから声援を受けまくっていたこのマブヤーもまた、フルマラソンコースである。タダでさえ暑苦しく息苦しそうなそのコスチューム、この晴天の下で、はたして……?

 このときのマブヤーは颯爽と前方へ走り去っていったのだが、うちの奥さんによると、中盤に差し掛かった頃には、案の定すっかりへばっていたという。
 マブヤーの格好をして、沖縄の子供たちの前でヘタッたところは見せられない。
 頑張れマブヤー!!

 ……結果。
 記録5時間51分22秒。
 あのぉ、昨年の僕たちを下回るタイムなんですけど。

 ちなみに、なんで我々がマブヤーのタイムまでわかったのかというと、上の写真のゼッケンから出場者名簿で名前を割り出し、翌朝の新聞にて完走者をチェックしたからである。
 なにもそこまでするこたなぁないだろうって話もあるものの、その他のコスプレ系の方々の多くが新聞紙面等で取り上げられているというのに、沖縄のヒーロー・マブヤーのことがどこにも載っていなかったため、完走したのかどうか、気になって気になって仕方がなかったのだった。

 着ぐるみ系といえば、ほかにこんな方もいた。


撮影:オタマサ

 地デジ化とチデ鹿の語呂合わせの、鹿の着ぐるみ。
 フルとハーフとコースが分かれてすぐのところで、うちの奥さんと隊長が追い抜く際の記念撮影。

 その後、彼がどうなったかはわからない……。

 そんな着ぐるみ君などを楽しみつつ、テクテク走っていると、やがてフルとハーフのコース分岐点が近づいてきた。
 昨日の話のとおりなら、この地点には………


撮影:オタマサ

 Yさんご夫妻とスダちゃんだ!!
 ……って、なんで鬼さんのお面なの??
 え?「鬼嫁」ってことですか???

 あ、節分が近いからか……失礼しました。

 にしても、パーランクーと鬼のお面って、なんだか雷様って気がしなくもない。走り抜けるランナーすべてにかけてくれる威勢のいい掛け声ともども、なんだか選手たちよりはるかに目立ってるんですけど(笑)。

 ドンドコ応援団に励まされたこの地点で、ついにうちの奥さんと隊長たちと別れることになる。

 隊長、健闘をお祈りいたします!!
 ゴールでお待ちしています!!