9・力尽きた青鬼どん

 芝生の上でしばし生ビールと牛肉を堪能した後、ホテルに戻ることにした。
 今宵もまた長い夜になるのは間違いないから、今のうちに休息を取っておくに越したことはないのだ。

 昨年同様「あだん亭」にて大勢で飲む予定になっていた。
 これまた昨年同様、Yさんたちがとりあえず4名で予約しているところへ、我々がどやどやとお邪魔することになる。

 にぎやかになること必至の宴席で、元気でいるために体力温存。
 そのため、タクシーでホテルまで戻ることにした。
 その道中、ホテルまではタクシーなら10分もかからないのだが、わずかな時間に意外な事実が発覚。

 どこから来たとか、マラソンは何度目だとか、よくある話を運ちゃんとしているうちに今夜の予定にまで話は及び、あだん亭で飲む旨運ちゃんさんに告げると、

 「あ、そこ私の叔母が働いてる店ですよ」

 え?
 いくら島とはいっても一つの市である。タクシーの多さなんて本部町内の比ではない。
 なのにこの偶然。なんともまぁ、世間は狭い。

 まぁ、誰も彼もが親類縁者といっても過言ではない沖縄のこと、そういう偶然はよくあることといえばそれだけかもしれない。
 が、偶然はさらに続いた。

 ひとっ風呂浴びて一眠りして、人間に戻ってから今宵の宴席へいざ出陣すべく、ホテルのロビーを出た。
 夕食時ということもあって、ホテル前にはタクシーが並んでいる。その先頭に近寄っていくと……

 ありゃ?さっきの運ちゃん??

 というわけで、あだん亭までの道のりも同じ運ちゃんなのだった。


膝を壊す以前はご自身も出場していたという大底運転手

 しかもさらに驚くべきことに!
 後刻、タクシーの運ちゃん・大底さんの叔母さんをあだん亭にて探しあてたところ、彼女はなんとヒサコさんと普通にお話しているではないか。
 お友達だったのだ。

 狭すぎるぜ……石垣!!

 これじゃあとてもじゃないけど、悪いことはできないな……。

 途中隊長をホテルでピックアップして、あだん亭へ。
 昨年も今年も、マラソン後の疲労度合いの予測がつかなかったので、宴席にはちょっと遅れるかも……とYさんにはお伝えしてあった。
 が、これまた昨年も今年も、予定時刻よりも早く店に到着してしまった。
 飲み会になると途端にやる気を漲らせる、ってのもなんだかなぁ……。

 とはいえ誰かが来るのを待ってるってのもつまんないから、とりあえず我々だけで先に始めることにし、仲居さんに案内されて予約席に赴くと……

 我々をさらに上回るやる気を漲らせ、先着している人たちが居た。

 ドンドコ応援団ふくみみ隊の、ノリダーとミスミ嬢だ。
 日中は応援ありがとうございました!!

 そして。
 彼女たちをさらに上回る先発隊が、実はあだん亭に到着していた。
 その先発隊はここあだん亭にてお色直しを済ませ、満を持してついに宴席に登場!!


君たち二人が食べていいのは尻尾の先だけ!!と僕に通告され、
指をくわえて眺めるノリダーとミスミ嬢の図。

 ご存知、えび屋−Mさんの活車えびてんこ盛り!!
 ママー、裸じゃいやぁー状態の身の部分と、多弾頭対空ミサイル発射装置のように、天を見上げてズラリと並ぶ頭部。
 いやはや、壮観!

 この日えび屋−Mさんは、会社の若い子たちもマラソン大会に出場するという事実を直前になって知ったため、そちらの慰労会に出てからあだん亭に駆けつけるということになっていた。

 ところがその前に、いち早くお店にエビちゃんを届けてくださっていたおかげで、彼が店に現れるよりも早く、宴席にエビちゃんたちが登場した次第。

 えび屋−Mさん、ありがとうございます!
 (車えびのふるさとは
こちら

 もちろんエビちゃんたちが宴席に登場する前に、Yさんご夫妻と炎のランナー・マサカッちゃん夫妻、そして島P一家も登場。

 再会を祝し握手するマサカッちゃんと島P。
 そういえば昨年は、フィーバーがかかった島Pが、とても初対面とは思えないノリでマサカッちゃんとトークを繰り広げていたっけ。
 それもあって、島P一家が到着する前から、マサカッちゃんは

 「島Pさんと会えるんだぁ…」

 とやや嬉しそうに言っていた(…戦々恐々としていたのかも)。

 やがてえび屋−Mさんもご登場くださり、宴席は昨年同様盛り上がった。
 が、なぜかその場面の写真が無い。

 というのも、ひとしきり盛り上がって場がくだけてきてから写真を撮ろうと思っていたのにすっかり忘れていたからだ。
 おまけに思いのほか早くにYさん夫妻とマサカッちゃんご夫妻がお帰りになることになったため、思い出す間もなかったのである。

 やっぱりフルマラソン全力疾走だもの、夜はしんどいんだろうなぁ……

 とマサカッちゃんを気遣った我々だったのだが、真相はまったく別のところにあった。
 上記4名中最も疲労していたのは、実はヒサコさんだったのだ。

 なんでヒサコさんが??
 青鬼どんになって、太鼓をたたきながら縦横無尽に走り回っていたからにほからならない。

    

       
              
以上3枚撮影:オタマサ

         
                
撮影:ふくみみ・おーほり

 走っている僕たちから見ても、選手よりも遥かに目立っていたその運動量。当然のように疲労度も、出場選手を凌駕していたのだった。

 ヒサコさん、体を張った応援、本当にありがとうございました!

 さて、Yさん夫妻とマサカッちゃん夫妻が帰った後のあだん亭では……。
 ついに、ついに、あの人が本領発揮!!