43・コロンナ・パレス
ベンツ・ロメオは、人が溢れている道を進みつつ、いかにもイタリア!って感じの石畳道に入った。 で、停車。 あれ? 「申し訳ないですが、ここから先には車は進入できないんです。お荷物は運びますから……」 へ?車が入れないってどーゆーこと?? その理由はすぐにわかった。 実はこの建物は、それぞれイタリアの下院、そして内閣総理府になっているのだ。 そのため広場への進入路は厳重なるセキュリティチェックが設けられていて、軍警察であろう制服警官が何人も立っている、という空間になっている。 まさか、タクシーすらホテルの玄関前に侵入できないとは!! ドライバー・ロメオは無線で同僚にあらかじめこの日のホテル周辺の状況を訊いていたようなので、場合によっては進入可能になることもあるのかもしれない ともかくそういうわけで、石畳の広場をガラガラと荷物を引きずりつつ、ホテルの玄関へ。 石畳の広い広場に面したホテルは、周囲の格調高い建物に勝るとも劣らぬ落ち着いた雰囲気でたたずんでいた。 ロメオさん、ありがとうね!! 路頭に迷いかけていた我々を、「安心」という羽毛に包んでくれたホンワカドライバー、ロメオ。 チェックインを無事済ませ、ポーターに部屋まで案内してもらった。 その際、カードキーの使い方をちゃんと教えてもらったにもかかわらず、後刻出掛ける時に、試しにやってみたら誰も開けられず。 あれ、どうやるんだったっけ?? フロントまで行って Aiuto!すると再びトラボルタ。 カードキーのやり方を、もう一度教授してくれるトラボルタ。<かなり得意気。 あ、なるほど……。 さらに得意気トラボルタ。 ローマっ子に、よほどの田舎モノと思われたかもしれないのがちょっとクヤシイ。<でも事実そのとおり。 でもありがとう!トラボルタ。 このカードキーは、部屋の中ではスリットに差し込んでおかないと電気がつかない仕組みになっていた。 コロンナ・パレスはさすがローマの4つ星、いかにもヨーロピア〜ンって感じの格調高い雰囲気が漂っていた。 Che elegante! 部屋から見える通りはこんな感じ。 その道を歩いてみるとこんな感じ。 利用はしなかったけど、フロントのそばのロビーにはバーもあって、なんかいい感じ。 そして我々にとってなによりもうれしかったのは、朝食スペースだ。 これがまた……… 気持ちいいッ!! テラスの西側からは、ヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂も見えた。 パレルモでは雨に祟られたけれど、ここローマでは滞在中雲ひとつないといっていいくらいの快晴続き。おかげで毎朝食時には必ずこのテラスにやってきて、朝の清々しい空気を存分に味わったのだった。 テラスにいると、そこかしこの教会から聴こえてくる鐘の音。 特にキリスト教ともカトリックとも縁のない我々ながら、この教会の鐘の音色が実にいい感じなのだ。 そして。 後日、サン・ピエトロ大聖堂にて そう、カモメのジョナサン。 また、写真じゃ伝えられないその鳴き声が面白い。 ローマの鳥はカモメ! なんて話を、これまで聞いたことが無かった。 このホテルがあるコロンナ広場のコロンナとは、イタリア語で「柱」という意味。 マルクス・アウレリウスといえば、ローマ帝国全盛時代を支えた五賢帝の最後の人で、その著書「自省録」に代表されるように哲学の徒でもあったため、哲人皇帝とも呼ばれる。 その時代はいわゆるシルクロードの全盛時でもあった。 その彼の時代に、ローマ帝国は漢帝国の南部、すなわち現在のベトナムあたりにまで交易使節を派遣した、と後漢書には書かれてあるそうな。 今に生きる我々が頭でウスラぼんやりとイメージする以上に、当時の人々の意識は西も東も世界に広がっていたのは間違いない。 屋上テラスからは、そのマルクス・アウレリウスの記念柱の天辺がほぼ同じ高さで見える。 異文明が建てた柱の上から眺めるローマは、聖人の目にはどのように見えてきたのだろうか。 カモメのジョナサンだけは、その答えを知っているようだった。 |