京都在住の友人がいる。 かつてこの旅行記に登場した際には こういう状況だったけれど、その後時を経て、今では烏丸にある鍼灸医院にて副院長などというえらそうな肩書きがつくほどになっている(「院長挨拶」ページの副院長挨拶欄や、ブログなどに登場してます)。たまに帰省するときくらいには一席もとうとは思うものの、前回の帰省はなにぶん急だったこともあって、素通りで終わってしまった。 そこで今回は計画的に事前に連絡を取ったところ、 「ディープな京都を案内しましょう!」 ということになった。 通称パパリンコと呼ばれる彼女は、県内有数の優良ダイビングサービスである「ヴィアマーレ」のオーナー夫人で、うちの奥さんを含めて同級生に4名しかいなかった女性部員の一人でもある。 ところが仕事の関係で、だんなと高校生の息子を置いて、昨秋から東京に単身赴任している。 そんな我々の心配をよそに、とりあえずこの冬の彼女の目標は、 「ブーツが似合う女になりたい!」 なのだった。 そんな面々と、四条烏丸駅改札にて待ち合わせ。 そんな沖縄モードに包まれつつも、タウチ氏によるディープな京都が始まった。 魅惑的な食材がズラリと並ぶ一本道に、丹後地方全域の人口と同じくらいの人数がいそうなほどの賑わい。雪深い丹後地方も京都なら、ここもまた京都なのだなぁ…。 その後隣接する新京極などの通りを徘徊してから六角堂を経由し、やってきたのがここ。 ……って、どこだかさっぱりわからん。 海の幸ランチに未練を残しつつ丹後地方を去った我々としては、宴席会場を待ち合わせ場所にしてもらえれば、もう少し長く木津温泉付近に滞在できたんだけど…と思わなくもなかった。 さすがディープ京都案内人。 旧交を温めつつ、アリ乾杯!! ……って、もうすでに日本酒に移行しているヒト2名。 料理は案内人タウチ氏がコースでオーダーしてあったらしく、京のおばんざい盛り合わせから始まって、次から次に出てくるのでもう記憶にない。 開店時刻に来たものだから当初は我々だけだった店内は、いつの間にか大盛況状態。 そして訪れたのが……… ……だめだ、店名を思い出せない。 するとそのエピソードを、マスターはちゃんと覚えていたのだった。 もうすでにみんな酔っているから、話はあっちへ飛びこっちへ戻りしつつも、まだまだお酒を味わえる余力はしっかり残っている。 「伊根満開」。 伊根で訪れた向井酒造のお酒だ。 他の日本酒類にくらべてグラス一杯の価格がやや高めだったけれど、ここはひとつ旅の締めくくりに味わってみることにしよう。 あ……………………… 美味しい。その日本酒離れした色同様、味も日本酒とは思えないほどなのに、たしかな飲み口にしっかりとした味わい。 そして飲み進むにつれてほどよくトリップしている頭に浮かんでくるのは、遠い丹後の美しい舟屋群。 ● ● ● ● ● 終電前に長岡天神駅前に場所を移して3次会まで進んだあと(3日ぶりにちゃんと肉を食った)、長岡京市にあるタウチ氏の豪邸に全員でゾロゾロとお邪魔をさせてもらい、雑魚寝。 夫妻と犬3匹が住まう豪邸(新築当時、建築雑誌に掲載されたこともある)には、他に3人が寝られる布団の装備が無かったことに気がついたタウチ氏、わざわざ京都市内の実家から布団セットを借りてきてくれていたのだった。 翌朝。 未明から降り始めた雨がそのまま続いていた。 が、年末だからか雨だからか、いや、年末で雨だからなのか、それほどの人込みはなく、雨の京都もしっぽりとしていてなかなかいい感じ。 我々田舎モノ的には「いかにも京都!」と思ってしまう、祇園近辺のスージィグヮーを練り歩く。 正月からフツーに営業するお店が増えてしまったニッポンでも、さすが京都、こういうお店は昔どおりのスタイルを貫いているようだ。 その後もいっこうにやむ気配のない雨の中、八坂神社や今宮神社、北野天満宮、それに大徳寺の端っことタウチ氏の母校・京都市立紫野高校などを徘徊。 いずれにしても、お前らどんだけ拝み倒すんじゃ!!と神様からクレームが来そうなほど回ってしまった。 そんな神社めぐりの合間にお食事。 「美味しいラーメン屋があんねんけど……」 「ヤダッ!!」 女性陣2人によりソッコーで却下されたタウチ氏。 そのあたりのピントのずれ方は、学生時代から変わらぬタウチ氏なのであった。 吟味に吟味を重ねた、彼的に申し分ないコースの中にそのラーメン屋も入っていたのだろう。 しかし気を取り直した彼が案内してくれたお店がここ。 ……ダメだ、店の名を思い出せない。 ここは一見するとフツーのカフェに見えるんだけど、なんと豆腐屋さんが経営している飲食店。 京都といえば豆腐である。<そうなのか? その点こういうお店なら、リーズナブルかつリラックス。 生湯葉とおぼろ豆腐のハーフ&ハーフ丼。 あわやラーメンを食べさせられるところだった女子2人も、にわかにゴキゲンモードに。 タウチ、やればできるじゃん。 雨の京都ではあったけれど、人間、お腹が満ちれば世の中すべて満ち足りて見える。 その後嵐電に乗ったりした後、河原町駅にて彼らと別れた。 そして。 いつの日か訪れる第2回ディープ京都に備え、今日もまた京の街を徘徊するのであった。 |