天橋立の両端には、天橋立を見下ろせる小高い丘がある。 ただ、南側、すなわち天橋立駅側の丘から眺める天橋立は、まっすぐにビヨヨ〜ンと伸びているだけ。いささか見映えがしない。 その点北側の丘からの眺めは、まさに絵に描いたように斜めにビシッと回廊が延びる構図だ。美術の教科書的には、まちがいなくこちらのほうが高得点を取れるだろう。 というわけで南側からの眺めはスルーし、いきなり橋立を渡りきってから対岸の丘に登ることにした。 丘を登るといっても心配御無用。ちゃ〜んとケーブルカーが運行している。 ● ● ● ● ● 天橋立を渡りきってすぐに、ケーブルカー乗り場への道順案内が出てくる。 あれ?どこかで道を間違えたっけ? そうではなかった。 この神社、名を籠神社という。「このじんじゃ」と読むらしい。 その歴は古刹・智恩寺どころではないようで、詳しく調べれば興味深い話がテンコ盛りであることは想像に難くない。 といいつつ、乗り場を目指しているだけの我々にとって、とても物珍しいシーンに出会えた。 正月用の絵馬セットを、本殿の前に設置作業中! 正月に神社を訪れれば当たり前のようにあるこういったアイテムも、実は重機を駆使して行なわなければならない作業を要するのだなぁ。 これまでの人生で年末に神社や寺を巡ったことなど一度もなかったので、なんだか知られざるヒミツを知ったような不思議的雰囲気だった。 行きがかり上とはいえ通りかかったのも何かの縁、とりあえずお参りを済ませたあと、道案内のとおりに進むと…… ケーブルカー乗り場に到着。 そりゃそうだ。天橋立を眼下に見下ろすケーブルカーだもの。 おお、指づめご注意!! 一昔前、阪急電車のドアにその注意書きありと他府県人に驚かれた「指づめ注意」の表示。 しかしあまりにもテレビその他で取り沙汰されたせいか、今では普通の言葉(?)に換えられ、すっかり過去の話になってしまっている。 ところがここ天橋立ケーブルカーでは、今もなお現役だった!! 妙な感動に浸っているうちに、ケーブルカーはやがて展望スペースである傘松公園に到着。 さあオタマサよ、これが天橋立だ!! うーん、これで天橋立駅到着時くらい晴れてさえいれば、雪化粧を施した家並みとあいまって、青い海と青い空の抜群の絵になったろうになぁ。 それにしても見事な自然の造形。 そしてまた、あっち側の端からテクテク歩いてきたと思うと、これまた奇跡を見る思いだ……。 ところで、この写真を撮ったのは、丘から半円形に外側に突き出たブースから。 と思っていたら、 なんだ、つい最近できていたんだ。 しかしこのポスターを目にしたのは後日のこと。 そう。 さっそくマタンゴ! 膝あたりの高さから眺められるようにするため、この部分にはガードレールが無い。 なんでわざわざこうして股の間から天橋立を覗いてるのかというと、 「逆さにのぞくその景色は、海と空が逆になり、まさに天に架かる浮き橋のように見えます。」 と謳われているからだ。 さあ、その発祥の地で股から覗いた景色は!! まさに天に架かる浮き橋……………… ………………か? あのぉ……どこが?? いかんいかん、こういうものは、詩人の心と眼で眺めなければならないのだ。 この展望スペースの傍らに、スカイデッキと同じく記憶に無いものがあった。 カワラケ投げコーナーだ。 とにかくここでは、3枚100円でカワラケが売られていた。 実に自力本願な開運祈願である。 さっそくやってみた。 これが簡単なようでなかなか難しく、僕は3枚投げたうち、どうにか1枚だけ輪の中を通過!! 一方、上の写真だけ見ると今にも輪を通りそうに見えるうちの奥さんは、コース云々以前に投げ方にモンダイが。 この旅の運が、いきなり閉じてしまわないことを祈るしかない………。 こうして、はるばる京都駅から2時間かけ、さらに1時間かけて歩いてやってきた天橋立探訪は、うちの奥さんにとって2ヶ所目となる日本三景を眺めるという当初の目的を果たして終わりを迎えた。 が。 その目的地とはいったい?? |