5・スキップスキップらんらんらん
我が家の煎餅布団がただの板切れかとさえ思えるほどの寝心地のよいベッドに横たわり、たちどころに爆睡に突入……… ………したかと思ったら、すぐに朝になってしまった。 以前は、旅行といえばいつも琉球大学にあるクロワッサン専用駐車場に車を停め、北口を出たところでいつも我々を待っているタクシーに乗って空港まで行っていたのだけれど(一部脚色あり)、このごろは空港付近の民間駐車場が随分安くなっている。今回は3日預けの7日受け取りでしめて4000円。空港から琉大までタクシーで往復よりも圧倒的に安く、おまけに空港で受け渡しできるから、わざわざ琉大に車を停めておく必要がない。 そんなわけで、プチトマト号を空港ターミナル出発フロア入り口の乗降ゾーンで駐車場スタッフに預け、意気揚々と空港内に。 ところで、今回の航空券手配に際しては旅割をANAのサイトで予約・購入したのだけれど、なにやら昨年秋ごろからシステムが急速に未来化され、なんでも「スキップサービス」なるものが用意されていた。 なにスキップサービスって?? スチュワーデスさんが機内販売などの際に、スキップしながらルンルン♪と通路を歩いてくれるとでもいうのだろうか?(うれしくないけど) 当たり前だが全然違った。 そんな未来化システムのチケットとなれば、またぞろ近未来的装置内臓の高級カードにでもなるのだろうかと思いきや、この未来化により僕が手にしたのは、自分でプリンターから印刷した単なる紙切れだけなのだった。 そこにある2次元バーコードが、チケットの代わりになるのだという。 にわかには信じがたい話ではないか。 …と一瞬うろたえかけたが、どうやら本当にこれがチケット代わりになるらしい。 便利なようで、冷静に考えるとオソロシイ。 さてさて、その便利でオソロシイスキップサービス、こんな迷路のような絵で飛行機に乗ることができるというからには、どこか特殊なところを通過しなければならないに違いない。 保安検査場?? ひょっとして、持ち物検査で引っかかりながらも駄々をこねた人が、まるで突然ガバチョ!!のテレビにらめっこに出てきた退場マンのような(……誰も知らない?)、強面のでっかいオッサンに強制的に連れて行かれるような奥の奥部屋のこと?? といういささかの不安を抱きつつ空港に来た我々だったのだが。 まだ半信半疑だった紙切れチケットを手にその保安検査場に着いたものの、さて、これをどうしたらいいのかわからない。 保安検査場にもちゃんと2次元バーコードを読み取る機械があって、そこに紙切れにあるバーコード部分をかざせばオーケーだった。 それにしてもこの紙切れチケット、往復で予約すると帰りまでずっと持っていなければならないというのは、いささか不便である。道中なんらかの事情で濡れてしまったりしたら、画像がにじんでしまってバーコードの役割を果たさなくなるではないか。 ともかくそうやって一抹の不安も消えうせ、搭乗口付近のベンチに腰掛けて本を読んでいたものの、いささか飽きたのでうろちょろしてみると、売店でなかなかに魅惑的な空弁を発見した。 ぐるくん寿司!! 今までありそうでなかった商品ではないか。 飛行機が離陸し、安定飛行に入ったのを見計らい、さっそく開封。 わぉ!! 次回から機内食の定番にしようっと! 飛行機は飛んでいく。 空が青い。 関西国際空港に到着した。 実家が高槻にある僕にとって、この関空なんてものは、利用者の利便性を考えて造られたという渡久地港のポンツーンなみにまったく不便このうえない空港だ。地図をちゃんと見たら愕然としてしまうほどに、実家からの距離が伊丹空港にくらべて圧倒的に遠いのである。 そんな不便な関空を今回なぜ利用しているのかというと、先にも触れたとおり関空〜那覇のチケットが最も安かったからである。伊丹〜那覇だと最低でも14000円かかるところが、関空発着だと、最も安い便はなんとたったの1万円!!ジャパネットたかたも真っ青のご奉仕価格ではないか。 もちろん、空港実家間の往復費用の差額や、その便に乗るために往復とも一泊ずつ余計にかかるということを含めれば最終的には高くつきはするものの、飛行機代が1万円というのが心地いい。余った予算で有意義に遊べるというものだ。 というわけで関空にいる。 電車にも何も乗らず、人ごみにまぎれることなくに家まで行けるなんて、これほどありがたいことはない。 認めたくないものだな。自分自身の若さゆえの過ちというものを…………。 |