19・浄土宗・浄念寺
横浜滞在4日目にして、ついについに本格中華を堪能することができた我々は大満足。 あ、お坊様との待ち合わせが……。 ともかく、島の皆さん方へのお土産を買い求めるために中華街を再びウロウロし、そのあと、新たな待ち合わせ場所にすべくローズホテルのロビーに入った。 あれ?出ないなぁ……。 お坊様は、月のうち8日間くらいしか働かないという。週末2日×4ということである。 電話を待ちつつ、ソファーで居眠りを。 しかし………電話がかかってこない。 圏外 え!? ……ってことは!! 居眠りしていた間、ずっと圏外だったってことじゃないか!! 「社長!!いったいどこにいるんですかぁ!!」 なんとお坊様、3時過ぎからずっと僕に電話をかけても、僕の電話にはまったく繋がらなかったそうである。そりゃそうだよなぁ、圏外だったんだもの……。 「すみませんっ!!こ、これからどうしたらよろしいでしょう??」 「とりあえず関内駅まで来てください。タクシーで1メーター料金で大丈夫ですから」 慌てて他の二人に事情を告げ、タクシーを拾って関内駅へ。横浜スタジアム側で降りてくれと言っていたっけ。 お、お坊様だ!! アーーーーーーーッ!? 本当にお坊様だ!! そう、仕事帰りのお坊様は、法衣のままだったのである。 「今日はコスプレの日ですから」 すみません、そんな格好のまま30分もこんなところで待たせてしまって………。 お寺から半径5キロ以内、つまり檀家さんを回る範囲内では、お坊様はつましく軽自動車に乗っておられる。その「社用車」に乗せてもらい、一路お坊様のお寺を目指す。 「酒くせ〜っ!!」 す、すみません、お坊様、さっきまでビール飲みまくりでした…… まったく……と苦笑いしつつ、お坊様は車を発進させた。 「社長、それ姫からですよ」 へ? アッ!! で、電話には僕が出た。 車は走る。 浄念寺は同じ横浜市にあるものの、横浜といってもとっても広いので、中華街からは混んでいると車で20分くらいかかる。 たしかに田舎である。 浄念寺とは、伽藍こそ小なりとはいえ、由緒正しい古刹なのである。 ところで、今でこそ僕たちはお坊様をお坊様だと認識しているけれど、初めて水納島に彼が訪れたときは、もちろんのことご職業など知る由もなかった。 スキンヘッドである。 以上の状況証拠を見れば、おそらくシャーロック・ホームズでも金田一耕助でもコナンでも、そっち系の人であろうと推理するだろう。 そしてある年のお正月に届いた年賀状が、長い間の謎を一気に解決してくれたのである。差出人名のところに、 横浜浄念寺・副住職 最初は冗談かと思ったほどだ。 その後お坊様は何度も島に足をお運びくださるようになり、挙句の果てにはうちに半自動の麻雀卓を贈ってくださるほどのリピーターになってくださっている。 そんなお坊様のお寺についにやってきた。 中に通してもらった。 そんな我々のために、お坊様はさらにグレードの高い法衣に着替えられ、有難くも尊いご回向をしてくださった。 これが!! こればっかりは是非動画で皆様にお届けしたかったなぁ……。 ……というか、ビールをたらふく飲んでほろ酔い気分で来てしまって、本当に申し訳ございません。 このご本尊もまた由緒正しいものだそうで、中央の阿弥陀如来様は、お寺の歴史よりも圧倒的に古いらしい。「なんでも鑑定団」に出せばとんでもない値がつくだろうということだった。 このあと、客間でお茶をいただいた。 上下左右にある文字を中央の口という字につけて読むと…… 吾(われ)唯(ただ)足る を 知る となる。 八名信夫に似ている!! ドンッとテーブルにコップを叩きつけ、 「うん、マズイッ!!」 といいそうなその風貌。 この浄念寺で心残りがただ一つある。 お坊様、お寺の写真、よろしくお願いいたします……。 と書いていたら、本当に後日写真を送ってきてくださった!! 撮影:浄念寺副住職 このあたりの札所になるほどの由緒あるお寺なのだけれど、そういうミーハー的な名の通り方はさせたくないという住職の方針として、浄念寺というお寺の名前はネットで調べてもそうそう出てはこないと思われる。 さてこのあとは! 本当のお坊様姿だったお坊様は、早くも街の遊び人モードに切り替わっていた。どうみても街のあんちゃんである。 今宵、伊勢佐木町へ集結する主なメンバーは、お坊様コンビとそのお連れさんたち、我々3人、そして……… なんとあの人たちまで!! |