全長 3cm
恩納ヘビ(ベニモンヘビギンポ)やアヤヘビギンポなどの発見が相次ぎ、水納島にもまだまだ(個人的に)知られざるヘビギンポ類がいるということを、近年になってようやく知った。
ただ、繰り返し述べているように、彼らの生息環境は、通常のファンダイビングでゲストをご案内するようなところではないことが多い。
そのためシーズン中、それも夏場になるとなかなかサーチするチャンスがないのだけれど、ゲストのご予約も疎らな梅雨明けまでの時期なら、カメラ片手に彼らヘビギンポたちをサーチする機会を得ることができる。
クラシカルアイに鞭打ちつつ、岩場の浅いところをサーチしてみると……
こういうヘビギンポに出会った。
はて、出会ったはいいけれど、じゃあこのヘビギンポは誰?
2014年の発見当時は、ネット上に滲み出てくる中央(?)の情報がまだまだ少なく、検索能力が限りなく低いワタシにはまったく手掛かりがなかった。
ところが今の世の中(2018年現在)ではいつのまにやら既知の魚として、ネット上にフツーにラインナップされている。
その名もエリマキヘビギンポ。
ほぼほぼ通常色のこの状態を観ても、その名にピンと来ることはないだろう。
ところがひとたび婚姻色を発したオスの姿(冒頭の写真)を観れば、思わず膝を打つこと必至。
黄色く発色している部分が、まるで襟巻のようではないか(それが由来ですよね??)。
やや上から観るとこんな感じ。
もっとテンパっているときは、冒頭の写真以上に真っ黒になっていて、オーバーハングの陰にいるために黄色い部分だけがやけに目立つ。
初めてこの婚姻色を目にした時は、黄色い部分だけが何か別の生き物に思えたほどだ。
こうして婚姻色を発していると目立ってしまうということは彼も重々承知しているらしく、カメラを構えて接近し始めると、だんだん婚姻色が褪せていく。
この間ほんの数十秒ほど。
ちなみに、同じ時にほぼ同じ場所にいた、おそらくメスと思われる子の色は…
オスのノーマル状態の色も、きっとこんな感じなのだろう。
同じ場所ではないのでオスだかメスだか不明ながら、頭の上の黄色い模様がクッキリしていることもある。
ヘビギンポ類は春に繁殖期を迎えるものが多く、4月から6月の梅雨明け前くらいまでが、彼らの恋の季節になる。
なので婚姻色を観ることができるのも、ほぼその期間に限られる。
ヘビギンポワールドは、夏までのお楽しみなのだ。
もっとも、それを「楽しみ」とする変態社会人は、エビカニ類を観て喜々としている方々どころではないほどにマイノリティなのは言うまでもない。