水納島の魚たち

ホソカワインドカエルウオ

全長 10cm

 インドカエルウオに見える魚はすべてインドカエルウオである、と長年信じてきたワタシにとって、ホソカワインドカエルウオという種類の存在を知ったときは衝撃ですらあった。

 インドという、不思議さと凄さと広大さと怪しさをヒトコトで表す壮大な名前を冠している魚に、「細川」などという献名を頭にもってくるネーミングのセンス。

 だったらいっそのことホソカワカエルウオでいいじゃん。

 ま、インドカエルウオにそっくりだから、インドをはずすわけにもいかないのか…。

 ホソカワ氏のほうが体に赤味があると図鑑的に説明はされているけれど、同時に見比べでもしないかぎり見分けるのは無理。

 なのでホソカワ氏の存在は無かったこととして、すべてインドカエルウオで済ませてきたワタシである。

 ところが両者を見比べずとも、写真判定なら容易に区別がつく特徴があることがわかった。

 それは、目の上のアンテナ(?)。

 インドカエルウオが糸状の突起であるのに対し、ホソカワ氏はちょっとばかし太い。

 ここさえチェックできれば、両者を見分けることができるのだ。

 もっともクラシカルアイでは、海中で観ている最中に判別するのは不可能。

 かくなるうえは、さらにわかりやすい見分け方を。

 水納島でフツーにファンダイビングする場合、水深10mよりも深いところで観られるものは、山田太郎在学時の明訓高校野球部の勝率と同じ確率で、ほぼホソカワインドカエルウオである。

 アカデミズムのデータでもなんでもなく、単にワタシがホソカワ氏を認識できてからの経験値でしかないですけどね。

 ところで、ホソカワインドカエルウオのチビターレも、インドカエルウオ同様キレンジャーになる子がいるのかどうかは知らない。

 だって、キレンジャーの眼の上には……

 …アンテナが無いんだもの。

 判別不可能。

 では黒いチビターレはどうかというと…

 同じく判別不能なのだった。