全長 20cm
一昔前までは、魚を覚えようとする場合、まずキンチャクダイ類かチョウチョウウオ類から手を着け始める傾向にあった。
しかし緒についた途端、トゲチョウチョウウオや本種、ニセフウライチョウチョウウオといったそっくりさんを前にして、いきなり挫折する人もいた。
見分けがつく人にとっては「なんでわかんないの?」というくらい違って見えるのに、そっくりだと思いこんでしまうとなかなか違いに気づけなくなってしまうのだろう。
このフウライチョウチョウウオも、トゲチョウチョウウオと似ているといえば似ている。
前述のような見分けのつかない方にとっては、コロナとカリーナくらいそっくりに見えるかもしれない。
よく見るチョウチョウウオというのは餌を限定しておらず、本種なども風来坊というだけあってとにかく何でもよく食べる。
サンゴのポリプしか食べられないんです、といったお嬢様育ちのわがままチョウチョウウオはサンゴが壊滅すると途端にその数をグンと減らすのに対し、本種などはたとえ白化直後のサンゴ壊滅状況でも、何事もなかったかのように日がな一日ガレ場の底を物色している。
でもやっぱりトロピカルイメージにピッタリなのは、白い砂地を行く2人。
オトナにはこんなにたくさん出会えるにもかかわらず、その幼魚となるとリーフの外で会う機会はまずない。
幼魚はトゲチョウチョウウオのチビと同様、インリーフの静かななんてことのない場所でフツーに観られるけれど、やはりサンゴ群落があるところには多い。
オトナにはない眼状斑が背ビレ後端についているからカワイイ。
オトナになると他種のチョウチョウウオ類と一緒に泳ぐことはまずないけれど、チビの頃は仲間意識があるのか、異種同士で一緒になっていることもある。
これはアケボノチョウのチビと一緒にいるところ。
オトナのペアのようにずっと一緒にいるわけではないけれど、オトナの両者のツーショットなんて、餌付けをしている場所でもないかぎりちょっと考えられない。
オトナじゃあり得ないといえば……
トゲチョウの稿でも紹介している、チビチビ大集合の図。
秋頃のリーフ内のサンゴ群落は、ある意味豆チョウパラダイスでもあるのだった。
※追記(2022年11月)
昨秋(2021年)、フウライチョウチビターレの人生最小記録を、ほんの少し更新することができた。
体側の縞模様がうっすらとしか出ていないのは、けっしてストロボ光が強すぎて飛んでしまっているわけではなく、もともと模様が薄いんだけど、これはよりチビチビである証なのだろうか?