水納島の魚たち

イシガキハタ

全長 20cm

 風が強めに吹いている時に潮が引いていると白波が立つようなリーフ上の浅いところは、ボートダイビングをもっぱらにしているとなかなか立ち入る機会がない。

 そのためそういうところを好んで暮らす魚たちをこのお魚コーナーで紹介する都度イイワケしているとおり、これまでずっと画像記録を残せていないものが多い。

 このイシガキハタもそのひとつ。

 カンモンハタに似ているハタたちはどれもこれも「カンモンハタ」ということにしていた時代をようやく卒業し、これらのハタたちをある程度区別できるようになって、このイシガキハタは石垣模様の縁々に白点状に見える模様が散りばめられていることに気づく。

 なんだか石垣模様がお花模様にも見えてくるこの白点状の模様は他のカンモンハタ似のハタには観られない特徴なので、これさえ押さえておけば勝利を手にしたも同然だ。

 とはいえなにぶん居場所がリーフ上の浅いところだけに、前述のとおり撮ることはおろかじっくり観る機会すらそうそうないハタでもある。

 ただ、これまでもずっと、目にする機会だけはあった。

 ターボスネイル生息密度調査の際だ。

 おそらくリーフ上の浅いところで出会っているカンモンハタ似のハタのほぼほぼすべてが、イシガキハタなのではなかろうか。

 もっとも、ハタ類などまったく主目的ではないから、目の端でチラ…と見てはイソゴンべかな?と思ってしまう。

 むしろイソゴンべのオトナよりも小型で、イシガキハタはオトナでもせいぜい20cmほどしかないそうな。

 さすがにリーフ上の浅いところでは、ドドンと大きくなってしまっては何かと不便なのだろう。

 こういうところに暮らす小型のハタをわざわざ海中で撮影しようというヒトはやはり少なく、画像検索をしてみても、出てくる写真のほとんどが釣果だ。

 イシミーバイ系は気軽かつ手軽に釣れる美味しいハタだから釣りの対象魚になっていて、潮が引いているときにリーフ上まで歩いて釣りをしている方々のほうが、ダイバーよりも遥かにこの魚をよくご存知に違いない。