全長 50cm(写真は15cmほどの若魚)
ゴマモンガラ、キヘリモンガラと並ぶ3大モンガラとも言われるイソモンガラ。
しかし沖縄近海ではその数はけっして多くはないようで、水納島でもときおり幼魚が散見されることはあっても、50cmに達するという巨大なオトナに出会ったことは一度もない。
ただし若い個体にはたまに出会える。
キヘリモンガラが暮らしているような砂底であったり、ゴマモンガラがもっぱらブイブイ言わしているようなリーフ際の転石帯であったりと居場所にはこだわりはないように見えつつ、幼魚同様岩場のポイントで出会ったことはない。
転石帯や砂底にいるイソモンガラ若魚は、キヘリモンガラのように水流を海底に吹きかけて餌探しをする(この餌探しの方法からしても、岩場環境にはそぐわないのだろう)。
砂中に何かがいると確信してからかどうなのか、そのうち礫を口にくわえ、引っぺ返すようにしてその下に潜むナニモノかに狙いをつけるイソモンガラ若魚。
警戒心はかなり強いほうで、なかなか近寄らせてくれないことのほうが多いのに、こうして餌探しに夢中になっているときなどは、我を忘れて周囲の警戒を怠ってしまうらしく、わりと間近から観ることができることもある。
そんなイソモンガラは、他のモンガラ類同様、幼少期は砂底に転がる何の変哲もない小さな岩や貝殻などを拠り所にしている。
この色合いをしている3〜4cmほどのサイズまでは行動範囲が狭く、拠り所にしている岩などから離れることはまずない。
おかげでしばらくの間は、同じ場所で観察できる。
ただし警戒心が強いから、ウカツに近寄るとすぐさま拠り所の巣穴に隠れ潜んでしまう。
その際、個体によっては穴に入るのを入り口付近でグッと我慢するものがいたり、逃げ込んでもすぐ出てくるものがいる。
逃げ込んでから再び出てくるときに、あたりを伺いながらジワリジワリと超スローモーションで出てくる様子を観ていると、まるで初日の出を拝むかのごとく頭頂部を見つめることになる。
そんな様子を楽しめるのも、幼魚がその巣穴に入れるサイズの間だけ。
1〜2ヶ月もすると隠れ場所の穴に入れなくなるサイズになり、同時に行動範囲も広がる。
少し成長すると、2m四方に点在する3〜4個の岩を避難場所にするようになり、特定の穴に逃げずに他の場所へ移動することが多くなるのだ。
そのころにはもう幼魚の面影はなくなっており、ストライプ模様が目立つようになる。
これで6〜7cmほど。
長い間このあとの姿を目にしたことが無かったのだけど、2018年以降、ようやくもう少し成長した若魚を目にする機会に恵まれた。
10cm弱くらいの若魚は…
10cmオーバーくらいになると…(同一個体ではありません)
こうして見てみると、チビターレの頃は黄色地に青いスポット模様だったのに、いつの間にやら地色が入れ替わり、青地に黄色いライン、そして点々になっている。
さらに大きくなると↓こんな感じになる(同一個体ではありません)。
こうなるともう、青っぽい魚といっても差し支えなさそう。
その後さらに成長した段階……なのか、それとも同サイズの体色変化なのか、なにぶんフィルム時代に撮った写真のために記憶も記録も何も残っていないのだけど、こういう色味になっているものもいた。
朧げな記憶では、妙にでっかいアカモンガラ??と一瞬思ったような思わなかったような…。
いずれにしろイソモンガラは、成長するにつれてとことん地味になっていく。
なので、実はけっこうレアな魚にもかかわらず、たとえすぐ近くで泳いでいたとしても、注目する方はほとんどいらっしゃらない。
その点幼魚なら、出会ったときからスター街道まっしぐらだ。
イソモンガラのチビターレなんていったら、それこそ千載一遇のチャンス。
たとえ隠れ家に引っ込んでしまっても、再び顔を出してくれるまで、そこでひたすらジッと待つだけの甲斐はあると思います…。