全長 20cm
リーフ際のオーバーハングの下など、わりと広い暗がりを覗くと、たいてい出会えるメギス。
水納ビーチ内でも、ちょっとしたサンゴ根の陰で見られるくらいに普通にいる。
にもかかわらず、案外その存在を知るヒトは少ない。
たった一度の出会いが鮮烈な記憶となる魚たちがいる一方で、どれほど出会っていても記憶の片隅にも残らない魚もいる。
メギスもきっと、そんな魚なのだろう。
警戒心が強いと紹介されることが多いし、実際にすぐに逃げる子も多いけれど、なかにはかなり好奇心旺盛で、こちらを気にする素振りをずっと続けるものもいる。
ひょっとするとそれは、繁殖期のオスの行動なのかもしれない。
オスは赤味が強く、体側に縞模様が出ている状態がノーマルカラーのようだ(縞模様には濃淡の変化はある)。
基本的に暗がりにいるメギスも、時には表に出てきてホンソメワケベラにクリーニングしてもらっていることもある。
ベラの稿で紹介している、あのスーパーレアハイブリッドソメワケのクライアントにさえなっているメギス。
しかし表に出ているところを撮っているのは、やはりどれもオス。
メギス雌雄で体色に相当な違いがあり、メスはかなりダークな暗褐色〜暗緑色なのだそうな。
メギスのメス、いったいどこにいるんだろう…と探し求めていたところ、2022年になってようやく遭遇!
…というヨロコビも束の間、どうやらこの魚はガンテンメギスという別の種類のメスらしい。
このメギスの産卵を一部始終観察された方のサイトを見てみると、産卵は梅雨時の大潮(新月)の日中で 、産卵時のメスの体色は真っ白になっていたという。
メギスは前述のとおりリーフエッジのオーバーハング下あたりで観られるから、フツーにダイビングをしていても充分観察可能な場所だ。
フツーにいるのに知られざる魚、メギス。
産卵シーンどころかメスをちゃんと観たこともないのだから、まずはメスサーチから始めよう。
※追記(2023年11月)
メスとの決定的な遭遇は依然果たせていないけれど、これまでまったくノーマークだった幼魚に今夏(2023年)会うことができた。
…オタマサが。
真夏というのに遠方の台風のためにビーチが遊泳禁止となり、晴れているにもかかわらず海水浴客も業者もいない貸切状態という、真夏にビーチで潜るにはこれ以上ない条件が整った7月に、イソイソとタンクを担いでビーチにエントリーしたオタマサが、波打ち際にほど近い桟橋脇で遭遇したものだ。
無論のこと撮っている最中に正体がわかっているはずはなく、帰宅後も記憶を頼りに図鑑を紐解きながら、「見慣れないメギスの仲間を見たんだけど、誰だろう?」と首を捻っていたこの魚。
サーチはできてもリサーチはできないオタマサにはそれ以上の考察は不可能だったため、仕方なく代行して調べてみたところ、すったもんだの末にようやくメギスの幼魚らしいことがわかった。
ちなみに「メギスの幼魚」と画像検索してもただちに画像がいくつもラインナップされるほどメジャーな存在ではないようで、ひょっとして幼魚かな?と見当をつけてもなかなかビンゴ!な画像には出会えなかった。
ようやくビンゴ!に近い画像にたどりついたサイトでは、メギスのチビはいるところではけっこう出会えるというようなことが記されていたのだけれど、今となってはどこのサイトだったのか記憶がなく、ひょっとしたらワタシの記憶違いかもしれないので、そこんとこよろしく…。