全長 20cm(写真は15mmほどの幼魚)
タキベラ属のスポッティ・トリオといえば、スミツキベラ、ケサガケベラ、そしてこのモンツキベラの3種だ。
水納島の場合モンツキベラは、この3種のうちで居場所的に最も出会う機会が多い。
オトナはリーフエッジ付近でも砂地の根でも、浅いところからわりと深いところまでを生息エリアにしているから、リーフ際が中心の他の2種に比べると、おのずと出会う機会が増えるという寸法だ。
もっとも、リーフ際でチビターレが観られる他の2種とは違い、モンツキベラのチビはまずリーフエッジ近辺では観られず、もう少し深い水深20m前後の砂地の根などで観られる。
しかも3〜4cmくらいまでならウミシダや各種ヤギ類を拠り所にしていることが多く、2cm以内の小さい頃には特に、複数いることもある。
冒頭の写真は15mmほどで、もっと小さな激チビは↓こんな感じ。
これで1cmほど。
配色は地味とはいえ点々がにぎやかで、なおかつ居場所が派手なサンゴ系となれば……
写真にするとけっこうビジュアル系になる。
それを思えばもっと注目されても良さそうなものなのに、モンツキベラもやはりベラ。おそらく和名がつけられて以来こんにちに至るまで、業界的には一度として脚光を浴びたことはないと思われる。
なのでせっかく根に居ついていても、人知れず成長していくモンツキベラ・チビターレである。
4cm頃までは、その行動範囲は拠り所周辺をウロウロするくらいに留まるチビ。
それが5cm以上になると行動範囲は随分広がり、3畳ほどの根なら根全体をウロウロするようになる。
さらに成長すると……
モラトリアム期間(?)には環境要因もかかわるからか個体差があるため、色柄的には幼魚の名残りを残しつつもけっこう大きく育っているものもいる。
上の写真の子は、この模様ながらすでにオトナと変わらぬサイズになっていた。
一方、↓こちらの子は、上の写真の子よりもサイズは小柄ではあるけれど、模様はよりオトナに近づいている。
スミツキベラやケサガケベラ同様、オトナスイッチが入るタイミングは、それぞれの生活環境に左右されるようだ。
ところで、幼魚の頃に体じゅうに散りばめられている白っぽい点々、オトナになるとすべて消失するのかと思いきや、どういうわけか背側の3つ4つだけは残ったままになる(子供の頃からあったものと同じかどうかは不明)。
幼魚の頃は、ケアを求めてくる他の魚のクリーニングをする様子をよく見かけるけれど、このサイズになっていても頼りにしてくる他の魚はけっこういるようだ。
この写真を撮る際にずっと観ていたところ、ギチベラやアカマツカサ系などの比較的大きな魚たちは、モンツキベラが通りかかるたびにクリーニングを催促するポーズをとっていた。
そういったリクエストにわりとこまめに応えるモンツキベラも、もちろんながら自分自身をケアしてもらうこともある。
プロにケアしてもらうこういう機会に、自らのクリーニングテクニックの参考にしているのかもしれない。