全長 40cm
ボートダイビングで観られるものに限定すれば、水納島で最もフツーに出会うことができる大型の光物といえば、このニジョウサバだ。
パッと見はイソマグロの若い個体に見えなくもないけれど、イソマグロの若魚に比べるとそのボディは薄く、口も小さめなのですぐに見分けがつく。
リーフ際にキビナゴたちが群れ集うようになる少し前から頻度高くリーフ際に出没し始め、シーズン中はほぼずっと出会うことができる。
ただしツムブリのように群れ成すことは滅多になく、食事時以外はたいてい単独で暮らしている。
リーフエッジあたりがキビナゴフィーバー状態になっているときに、それをゲットしようと目が血走っているときは、同じ目的の者たちがたくさん集まっていることはあるけれど、それでもやはり「群れ」という感じではない。
ところが、キビナゴに襲い掛かるわけでもなんでもないときに、ニジョウサバがけっこうな密集隊形を作ることがある。
初夏のことで、小さな写真じゃわからないけれど、それぞれをよく観るとお腹がパンパンに膨らんでいるものが混じっている。
繁殖にまつわる行動なのだろうか?
その一方で、ニジョウサバたちは夏場になると、2人でよろしくやっていることがよくある。
2匹が絡まり合うように、上へ下へ横へランデブー。
その様子はケンカというよりはデートのようだから、やはりこれはカップルなのだろう。
集団見合いもしつつ自由恋愛もOKということなのだろうか。
ところで、サバというくらいだからその身は美味しいのだろうと期待するヒトは多い。
しかし今は亡き民宿大城のおじいが船釣りを盛んにやっていた頃に伺ったところによると、ニジョウサバは
「美味しくない……」
とのことだった。
釣り上げた魚はすべて食べたうえでの評価だから、まず間違いないだろう。
逆に言えば、だからこそ今でもフツーにニジョウサバはたくさん泳いでいられるのかもしれない?