12cm(写真は6cmほど)
フチドリスズメダイの稿でも触れているように、長い間ずっとセダカスズメダイだと信じて疑っていなかったスズメダイたちは、ヘタをするとみんなフチドリスズメダイだったかもしれない…
…という事態に直面してしまった。
図鑑によってはセダカスズメダイは「沖縄では少ない」と述べられていたりもするから、ホントにいないのかも…
…と勝手に納得しかけていたところ、セダカスズメダイのチビターレと遭遇した。
そういえばこれまでにもターボスネイル生息密度調査の際に、チビターレにはしばしば…とは言わないまでも、たまに見かけたことがあった気がする。
幼魚がそれなりにいるってことは、オトナだっているはず。
ただしモンダイは、セダカスズメダイが暮らしていそうなリーフ上の浅いところをサーチする機会がなかなか無いってこと。
普段のボートダイビングでは、よほどの目的が無いかぎりそういうところまで徘徊したりしないし、たとえ気が向いたとしても、うねりや波があったり潮が引きすぎていたりすると、たちまち観察&撮影どころではなくなってしまう。
そのためセダカスズメダイサーチはずっとペンディング状態だったところ、今秋(2022年)は海日和にビーチエントリーをする機会が多く、秘密のビーチからエントリーすれば、セダカスズメダイがいそうなリーフ上までわりと近いことに思い至った。
というわけで、目的をセダカスズメダイ1本に絞ってエントリー。
1本に絞って…といいつつ、途中途中でかなり浮気をしつつ、ようやくリーフエッジまでもう少しというところまでたどり着いた。
周辺ではフチドリスズメダイが随分幅を利かせているように見える。
ただそんなエリアの片隅に、背ビレを広げるとクッキリとマークが見えるものたちのゾーンもあった。
これは……セダカスズメダイでは!?
少なくともオトナには背ビレにマークがないフチドリスズメダイではないことはたしかだし、ヨロンスズメダイのように尻ビレの縁が黒い帯状になっているわけでもない。
セダカスズメダイと最も似ているアイスズメダイは、チビターレを一度も観たことがないのにオトナだけこんなにたくさんいるとは思えない。
最後はいささか思い込みでしかない根拠ながら、これはやはりセダカスズメダイで間違いなし!
いないいないと思いきや、限られたエリアながらも周辺には3〜4匹観られた。
フチドリスズメダイもすぐそばのそこかしこにいるのだけれど、両者が縄張りを巡って争う素振りは見せなかった。
そのかわりフチドリスズメダイは他の魚たちに対しては果敢に激しく追い払う動きをするのに対し、セダカスズメダイは他の魚に対してもそこまで激しくないように見えた。
顔つきも、ブラッシーなフチドリスズメダイに比べて幾分優しげだ。
もっとも、成長すると10cmを超えるというのに周辺にいるものたちはすべて6cmほどで、完熟オトナではないから、ということかもしれない。
同じクロソラスズメダイ属の一員ではあっても、リーフ内で暮らすクロソラスズメダイやハナナガスズメダイ、キオビスズメダイが糸状藻類を好むのに対し、セダカスズメダイは岩の表面に地味に生えている藻を盛んに食べていた。
環境が異なると育つ藻類も違ってくるだろうから、食べ物の好みにも随分違いがあるのだろう。
ともかくも念願かなってようやく出会えたセダカスズメダイのオトナ。
はたして水納島にも10cm超の完熟オトナがいるのかどうかということも気がかりながら、次回チャンスがあれば、是非チビターレを美しく撮ってみたい。
※追記(2024年6月)
まったく別目的でリーフ上の浅いところを泳いでいた際、ポツポツ…くらいの頻度ながらセダカスズメダイのチビチビがけっこう目についた。
ここはひとつセダカチビターレの写真を撮り直しておかねば!
さっそく現地を再訪したところ、さすがポツポツ…いたくらいあって、すぐに出会うことができた。
2cm弱のチビチビで、さすが藻食系のスズメダイ、こんなコンマイころから岩肌の藻をセッセと啄んでいた。
スズメダイのチビたち、特に単独で暮らすタイプの子たちは警戒心が強く、このあとで見つけた1cmほどのミニマムチビチビはすぐに岩陰に引っ込んだっきり全然出てこなかったけれど、2cm弱ほどに育っていると、わりとその身を外にさらしたまま普段の生活を続けてくれることもある。
なので…
アクビちゃんも(ややタイミングが早すぎた…)。
2年越しの課題だったチビターレの撮り直し、とりあえずこれにてミッションコンプリート。