体長 10mm
イソバナカクレエビのそっくりさんとして紹介しているエビが成長するとこの姿に…?とテキトーな推測をして楽しんでいた間に、いつの間にやらエビカニ変態社会ではこのエビの存在がすっかり認知されていた。
エビカニ変態社会内での通称は、その名もブラックコーラルシュリンプ。
もっとも、和名と違ってかなりテキトーな英名でblack coral shrimpと呼ばれるエビたちは幅広く、ムチヤギ系やイソバナ系のサンゴについているエビはみんな該当するから、ムチカラマツエビもイソバナカクレエビもアカスジカクレエビもトガリモエビの仲間も、み~んなブラックコーラルシュリンプってことになる。
でもなぜだか日本のエビカニ変態社会では、特にこのエビのことをブラックコーラルシュリンプと呼んでいるようだ。
いずれにせよ、ずっとスナギンチャクの仲間だと思っていた宿主は、サンゴだったらしい。
ちなみに冒頭の写真のエビは、そのサンゴに↓こんな感じで暮らしていた(PCでご覧の方は、写真をクリックすると大きな画像になります)。
エビ自体はせいぜい1cmほどだから、サンゴ群体もささやかなサイズだ。
崖状の地形の水深40mちょいほどの壁面は白い砂底環境とは違って照度は低いから、ストロボを当てた画像とは違って随分暗めで、エビ自体はまったく目立っていなかった。
撮っている時はまったく気づいていなかったけど、ハサミ脚は意外に長く、冒頭の写真では画面下ギリギリのところに先っちょがある。
そこまで長いと気づかずに横から撮ってみた写真は↓こんな感じ。
黒くて丸いものはエビヤドリムシかなと思ったら、よく見るとどうやら模様のようだ。
この宿主自体がけっこう深いところを好むタイプで、なおかつボコボコそこらじゅうで育っているものではないために、エビ以前に宿主のサンゴすら見つけられない。
そのため出会いは、ファーストコンタクトのこの1度きりになっている。
それは前世紀のことでもあるし、その後再会していないから私にとってはほとんど夢かウツツか的幻のエビになっていたというのに、四半世紀経つとあっちゃこっちゃでそれなりのスターになっているだなんて。
こんな世の中になるなんて、当時はまったく夢にも思っていなかったなぁ…。