甲長 20mm
干潮時に海岸を散歩してきただんなが、タイドプールにヤドカリさんたちがたくさんいた、というので、後日私も行ってみることにした。
おりよく昼間に干潮を迎えるタイミングだったから、食後の腹ごなし散歩にちょうどいい。
すでに他の稿で述べているように、ヤドカリさんのなかには潮間帯をもっぱらの暮らしの場にしているものが多く、そういった浅いところにいるヤドカリさんたちには、ダイビング中になかなか会う機会がない。
そのため「ダイビングで出会えるヤドカリ」となるとかなりレアものになってしまうかわりに、干潮時にタイドプールを巡り歩けばいくらでも遭遇できる種類も数多い。
様々な海藻が蔓延っているから緑色になっている冬の干潮時の潮溜まりでは…
これまでダイビング中に出会ったことがなかったシロサンゴヤドカリや、過去に1度しか遭遇したことがないスベスベサンゴヤドカリの大小様々な個体がやたらと数多くいた。
それらはわりと大きめの個体もいるけれど概して小型で、宿にしている貝殻自体が可愛いサイズのものが多い。
そこに、サイズ的に異彩を放つ大きなヤドカリの姿が見えた。
はて、なんじゃらほい?
貝殻から出てくるのを待っていたら…
イモガイヨコバサミと初遭遇。
その色模様はタテジマヨコバサミにそっくりながら、タテジマヨコバサミの眼柄はほぼ無地なのに対し、イモガイヨコバサミの眼柄にはクッキリハッキリと縞模様が入っているから容易に区別できる。
というかイモガイヨコバサミ、でっかい。
このあたりのタイドプールにたくさんいるサンゴヤドカリ系の小さなイメージからすると、その存在感は3倍。
他のサンゴヤドカリ系やヨコバサミ系も、これくらいまで成長するんだろうか?
というか、イモガイヨコバサミはイモガイ類をもっぱらの宿にするからこそこの名があるというのに、この貝殻はどう見てもイモガイではない(レイシガイ系?)。
ベニワモンヤドカリの稿で紹介しているように、イモガイ類の殻口はたいそう狭い。
そんなイモガイ類を好んで宿にしているだけあって、このイモガイヨコバサミの体は、同じ仲間の他の種類に比べて随分平べったいのだそうな。
どんな体をしているかというと…
ウーム…他との違いがわからん。
少なくともこの貝殻の殻口が、イモガイ類よりも遥かに広いのは間違いない。
不本意ながらもイモガイ系ではない貝を宿にしたところ、思いのほか住み心地が良くて暮らし続けているうちに、体が元に戻らなくなったとか?