全長 6cm
わりと地味めな体色ながら、猫目がとても印象的なヒレグロスズメダイ。
オトナと子供で体の色には基本的に差が無いのはマルスズメダイと同様ながら、幼魚の方が色使いが豊富だ。
もう少し成長すると、↓こんな感じ。
微妙な色彩の違いはともかく、どの成長段階でも猫目だ。
このヒレグロスズメダイは、水納島ではごくごくフツーに観られるにもかかわらず(だからこそともいうけれど)、よほどのスズメダイ好きダイバーでもないかぎり、完全にスルーされている。
ただでさえパッと目立つわけでもないのに、名前がヒレグロじゃあ…誰も見向きもしないだろう。
もっとも、ヒレグロというわりには、明るい砂地の根にいるヒレグロスズメダイたちは…
明るめの色をしていて、黒と言われるヒレよりも、よほど猫目のほうが目立つ。
それが梅雨頃のチビターレ出始めシーズンに増えてくる激チビサイズになると…
Oh,プリティ♪
今のような空前の猫ブームであれば、ネコメスズメダイなんて名前だったらスターになれたかも…?
※追記(2025年5月)
今年(2025年)も各種スズメダイチビターレがわんさか湧いてくる季節になって、ハタと気がついた。
ヒレグロスズメダイと同じようにフツーに出会える同属のスズメダイたちのうち、マルスズメダイやシコクスズメダイ、オナガスズメダイたちの「やる気モード」カラーは認識しているのに、ヒレグロスズメダイって興奮するとどういう色になるんだか、これまで目にした覚えがない。
そんな梅雨のある日、その答かもしれないヒレグロに出会った。
オーバーハングの下なので実際の天地は逆になっているため、↑この画像は見やすいように天地を引っくり返してます。
このオーバーハング下にはヒレグロスズメダイが何匹もいて、そのうちの何匹かがこういう姿になっていた。
最初は何かとの交雑個体?と思ったくらいに違って見えたんだけど、いったいどこがどう違うのか、同じところに居たノーマルヒレグロにもご登場願おう。
ノーマルカラーは、地色が濃いめで眼の虹彩部分が輝いているのに対し、アブノーマルカラーは体が明るめになって、顎のあたりに普段は目立たない紫色の模様が出てくる一方、虹彩は濁り気味。
というか、虹彩が体の地色と同じ色味になっているから、少し離れて見ると猫目模様の立て筋だけがあるように見えて、とても不思議な顔つきに見えた。
その猫目模様も若干肥大化しているというか濃くなっているというか、黒が際立っている。
様子を観ていると、このアブノーマルカラーが近くのノーマルカラーを誘うようなそぶりを見せつつ壁の穴に入っては出てくるということを繰り返していたから、おそらく求愛行動なのだろう。
ってことは、このアブノーマルカラーは、ヒレグロスズメダイのやる気モードカラー?
ずっとカメラを向けているとノーマルカラーに戻ったところを見ても、これが婚姻色であろうことはほぼ間違いあるまい。
知られざるところでこんな色になりながら頑張ってくれているおかげで、毎年猫目小僧チビターレに会うことができるのだなぁ…。