全長 12cm
〇〇イシヨウジという名のヨウジウオが何種類もいることを思えば、このイシヨウジはその本家ということになる。
パッと見はクチナガイシヨウジに似ているけれど、クチナガイシヨウジがあえて「口長」と呼ばれるだけあって、イシヨウジの吻はそれほど長くはない。
クチナガイシヨウジを見慣れていれば、その違いは歴然。
ただ、昔の水納島ではクチナガイシヨウジが観られるような場所でイシヨウジもポツポツ観られた記憶があるのに、近年は全然見かけなくなってしまった。
目を皿のようにしてヨウジウオ類を探し続けているわけではないから、ひょっとすると以前のようにフツーにいるのかもしれない。
それでもクチナガイシヨウジやオビイシヨウジは、探していなくともちょくちょく出会えるのだから、それを考え合わせると、たとえ居なくなったわけではないとしてもイシヨウジが減っていることは間違いない。
聞くところによると、イシヨウジはもっと内湾の礫底といった環境を好むようだから、水納島の砂地の根は本来の生息場所ではないのかもしれない。
そんな次第で、手持ちのイシヨウジの写真は、フィルム時代に撮影した冒頭の写真1枚きり。
個人的にはものすごくレアなヨウジウオなのである。
なので、この先ゲストをご案内中に出会ってしまったら、思わずポッケのコンデジを取り出してしまうかもしれないこと、予めご了承くださいませ…。
※追記(2022年4月)
ついにイシヨウジと再会できた!
それも、水深50cmほどの水溜まりで…。
というのも、潮間帯ギリゾーンにいるギンポの仲間を観るために、世界一安全なスノーケリングスタイルでタイドプールを覗いていたところ、ヨウジウオの姿が見えたのだ。
その顔は、紛うかたなきイシヨウジ!(※注)
おそらく前世紀以来、実に四半世紀ぶりの再会だ。
ひと坪ほどのタイドプールにはイシヨウジのカップルが数組くらいいて、少なくともこの場においてイシヨウジはまったくレアではなかった。
なるほど、イシヨウジの生息環境として述べられている「内湾の礫底」、潮が引けばタイドプールになるような場所は、彼らにとってバッチリなのだろう。
その昔リーフの外でちょくちょく会えていたのは、台風その他で何かの拍子にリーフの外で暮らすようになった不運な子たちだったのかもしれない。
※注
世間では前世紀からその存在が知られていたキシマイシヨウジなるヨウジウオをつい最近(2023年3月)初めて知り、ここで紹介しているものがホントにイシヨウジなのか、それともキシマイシヨウジなのか、まったく自信がない。
キシマイシヨウジについてはこちらをご参照ください。