水納島の魚たち

ウミヤッコ

全長 15cm(写真の個体)

 オタマサが2014年の夏に砂底で出会ったヨウジウオの仲間は、その後何年経っても不明扱いのままで、なかなか正体がわからずにいた。

 正体がわからない場合、いさぎよく「ナゾヨウジ」などと勝手に名前をつけて紹介してはいるものの、なんとなくこのヨウジウオは、もう少し頑張れば正体がわかりそうな気がする…

 …と思ってこれまでずっとペンディングしていたのだけれど、その間正体判明のために頑張っていたかというと、3年ほど前に一度チャレンジしてみたきりで、引き続きナゾのまま。

 このままお蔵入りになってしまうのだろうか。

 ところが、このたびふと写真を見返してみたところ、オタマサが無理矢理全身を写しているこのヨウジウオの体側に、小さな皮弁が並んでいることに気がついた。

 そもそも皮弁にはピントが合っていないから、これまでは模様だと勘違いしていたのだ。

 このような皮弁が体にあり、なおかつ顔にも少々の皮弁となると…

 ひょっとしてウミヤッコ属の仲間かも?

 属の見当がつけば、あとはそれぞれの種の画像と見比べていけばいいだけなので話は早い。

 タツウミヤッコでもノコギリウミヤッコでもヒメホソウミヤッコでもないのはわかるから、日本で確認されているウミヤッコ属は残すところあと10種もない。

 そんなウミヤッコ属のヨウジウオの画像をあれやこれや拝見しているうちに、おそらくこれが「ビンゴ!」だろうとたどり着いた。

 その名も…

 ザ・ウミヤッコ。

 そうか、ウミヤッコ属だもの、ウミヤッコという名前の種類もいたわけか…。

 画像を見比べていて、大事なクリソツチェックポイントになったのは頭上の突起(矢印)だ。

 これはこの写真の子だけの特徴なのではなくて、ウミヤッコという種としての特徴っぽい。

 ウミヤッコである、という前提であらためてオタマサフォトを見直してみれば、ビミョーにクネ…とした感じで砂底に佇んでいる様子は、たしかにウミヤッコっぽい(ホントか?)。

 ちなみにこの写真の子の尾ビレはこんな感じ。

 はたしてこの特徴を有するヨウジウオは、本当にウミヤッコなのか。

 そもそも最初から専門家に問い合わせれば、すぐさま答えがわかったであろう話ではある。

 とはいえ、あーでもないこーでもない…と自分でリサーチするのもまた、アフターダイビングの楽しみのひとつなのである。

 結論に至るまで9年もかかったけれど…。