全長 25cm
水納島では、タテジマヤッコの仲間のうち、本家タテジマヤッコをのぞくと、もっとも見る頻度が多いのがこのヤイトヤッコだ。
といってもタテジマヤッコに比べれば圧倒的にその数は少なく、一カ所にだいたい1〜2匹のオスがいて、その周りにレモン色の背中をしたメス(写真下)が、大小5〜6匹泳いでいる。
メスのほうが黄色が目立つし数が多いから、まずメスが目につくはず。
そういう場所の海底や岩肌付近には、チビがいることもある。
雌性先熟の性転換をするタテジマヤッコの仲間は、チビの頃はメスとほぼ同じ色模様をしているのだけれど、体に比した目の割合が大きいからカワイイ。
一方、メスが複数匹いれば、たいていその近くにオスがいる。
複数のオスが多数のメスを統率している少夫多妻の社会でも、メスが闇雲にオスになったりせぬよう、オスはヒマさえあればメスに対してアピールしている。
オスは、四六時中「オス」であり続けなければならないのだ。
水納島で観られるタテジマヤッコ属カルテットのうち、最も多いタテジマヤッコを除いた3種、すなわちヤイトヤッコ、トサヤッコ、ヒレナガヤッコのなかでは、目にする頻度が最も多いのはヤイトヤッコだ。
でも場所によってはたまたまトサヤッコのハレムがあって、そこにいるヤイトヤッコのほうが少数派になっていることもあり、そうなるとヤイトヤッコのオスは、トサヤッコのオスでもメスでも相手かまわずアピールしていたりする。
種を問わず↑このように相手がオスだとライバル心剥き出しのように見えるのに対し、メスの場合は思わせぶりだ(↓後方の3匹はトサヤッコのオスとメス)。
こういう状況で何かがどうにかすると、ハイブリッドの誕生ということになるのだろう。