エビカニ倶楽部

ヒゲナガモエビ

体長 40mm

 アカシマシラヒゲエビホワイトソックスなどの有名どころは Lysmata属で、日本でいうところのヒゲナガモエビ属になる。

 つまりこのヒゲナガモエビは、有名どころをおさえて堂々の同属代表選手なのだ。

 ただ、ヒゲナガモエビにはそっくりさんが数多くおり、冒頭の写真のエビが本当にザ・ヒゲナガモエビなのかということについては、例によって確たる根拠はまったくない。

 冒頭の写真は、だんなが「まだ眼が見えるうちに…」とばかり、クラシカルアイになりきる前に一時期マイブームにしていた石の下に潜むエビカニサーチ(めくる石は1ダイブにつき5枚限定)をしていた頃に撮ったもので、石の下からヒョコヒョコ…と出てきたという。

 写真を見たときは一瞬アカシマモエビか?とも思ったけど、4cmはあったというからけっこう大きいし、似てはいても縞々が赤縞じゃなくて白縞だから、アカシマモエビとは全然違う。

 なので仮にヒゲナガモエビではないとしても、その近似の誰かであることは間違いなさそうだ。

 ヒゲナガモエビは本属代表選手だけに和名の歴史は古く、80年代後半に世に出ていた「沖縄海中生物図鑑・甲殻類編」に早くもその名が登場している。

 ところが歴史が古いわりにはその後続々刊行されたエビカニ系図鑑に登場する機会は少なく、手持ちの図鑑では「エビカニガイドブック」の八丈島編と久米島編の2冊くらいしかない。

 ネット上の画像検索に頼ろうとしても、出てくる写真はヒゲナガモエビ「属」のエビたちばかりで、ザ・ヒゲナガモエビの写真は悲しいほどに少ない。

 名前の古さが世間的注目度にまったく比例しないあたり、まるで当店を見ているかのようなエビだ。

 だんなによると、リーフ際の死サンゴ石が多く転がる浅いところで石を引っくり返したら出てきたそうで、エビ君にとってはよほど迷惑だったらしく、すぐさま最寄りの石の下に潜り込もうとしていたという。

 明るいところが大嫌いなのだろう。

 そうはいっても形的におそらく石の下専門ではないと思われ、場所によっては岩が作る亀裂など昼でも暗いところで観ることができるのかもしれない。

 あいにく水納島ではそういう場所がなかなか無いのか、それとも我々の目が節穴だからか、この写真の子以外にヒゲナガモエビの記録はない。

 夜潜れば、フシウデサンゴモエビのようにワラワラ出てきたりするのだろうか?