全長 8cm(写真は5cmほど)
水納島の場合、シロオビハゼはリーフの外で観られることはまずなく、リーフの中、それも広く砂底になっている穏やかな海底に限られる。
水納島でそういう環境といえば、海水浴場エリアだ。
ただし海水浴客がウヨウヨいるあたりでは都合が悪いらしく、過去に目にしたことがあるのは突堤の際あたりだった。
そもそもボートダイビングメインの我々だからビーチに潜る機会は少ないうえに、突堤の際あたりとなるとちょっとしたついでに行くには遠すぎる。
そのためシロオビハゼは長らく「観たことはあるしきっといるんだろうけど撮ったことはないハゼ」という存在だった。
ところが2021年のシーズン終了間際からえらいことになった軽石騒ぎのために、ボートを当分の間渡久地港に上架させておくことにした。
となると、小春日和の海日和に海に行くなら、ビーチエントリーということになる。
そんな次第で、久しぶりにコバンアジの群れと戯れてみるか…と他に誰もいない海水浴場エリアでプカプカ浮いてみることにした11月のある日のこと。
桟橋付け根からほど近い、波打ち際から続く砂浜の斜面が途切れてすぐの眼下に、シロオビハゼの姿が。
マリンスポーツ業者や海水浴客に文字どおり足蹴にされるであろうこんなところになんて、シーズン中ならありえない…かもしれない。
いわば千載一遇のチャンスだ。
ああしかし。
コバンアジと戯れるためにフィッシュアイレンズにしていたので、後日あらためてマクロレンズに換装し、タンクを背負って臨むことにした。
モンダイは。
前回目にしたシロオビハゼの場所はどこだったっけ…。
水面にテキトーに浮かんでいるときに見える視野と、海底をサーチしながら眺める視野は全然違う。
たぶんこのあたりと思う場所はあるものの、そもそも今日も元気にそこで顔を出しているんだろうか。
ま、やみくもに探してもしょうがないから、実は5万匹くらいいることがわかってしまったサザナミハゼや、昔から10万匹くらいいるヒメシノビハゼでも撮りながら、と開き直ったら…
…いた。
5cmほどのボディは記憶にある姿よりも立派だったけど、マックス8cmになるというからまだ若い個体なのだろう。
ともかくもシロオビハゼ、うれしはずかし人生初記録。
これまで確認した記憶が無かった、一緒に暮らしているエビちゃんはというと…
…クマドリテッポウエビだった。
周りに10万匹いるヒメシノビハゼが一緒に暮らしているエビちゃんはほぼホリモンツキテッポウエビだし、チラホラいるヒメダテハゼのお相手もクマドリテッポウエビではない。
シロオビハゼとクマドリテッポウエビは、このビーチにあっては唯一の組み合わせのようだ。
つまりクマドリテッポウエビもまた、ここではレアということになる。
同じくクマドリテッポウエビをパートナーにしているクロホシハゼのようにシロオビハゼも警戒心マックスかと思いきや、さすが波打ち際の本来なら人通りの多いところ(?)で暮らしているだけあって、実にお利口さんなシロオビハゼ。
おまけにエビちゃんはせっせと巣作りしてくれていたので、その姿も堪能させてもらうことができたのだった。